コラム

公立学校を変える挑戦の結果報告(京都府綾部市)~ 第2回 論理エンジンスパイラルを導入した子どもたちの学力は?~
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出口 汪
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公立の教育が変わらなかったら本当の教育改革にならない、ということでスタートした京都府綾部市の小学校での1年間の取り組みについての結果報告の第2回目になります。

実際に論理エンジンスパイラルを導入して学習した子どもたちの様子や、先生方の取り組み方や感想などをお話しいただきました。

文科省の教育改革方針には論理教育が必要

出口先生

出口先生

子ども達が自分で考えて発言して、あるいは先生との生徒の双方向でこのものを考えていくというのは、私はすごく新しい教育にとって大事じゃないかなと思っています。でも、それをやろうと思うと、論理力が必要となります。

そうですね。やはり人が話していること、書いてある文章を読み取る上で、やはり筋道を立てて読み取っていかないと本当の思い、そこに込められたものを受け取れないなと思いますし、相手を説得していく上で筋を立てるということが大事だと考えています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

子供たちというのは思い付きで話をする、人の話を聞かない、自分が言えば相手に伝わっていると思っている、伝わらなかったら相手が悪いとなります。こういった中では、アクティブラーニングは成り立たない。ただ言いっ放し、その時の感覚とか好き嫌いで終わってしまう。そこに、論理教育を入れることによって、初めて文科省がやろうとしている改革が僕は可能性を持っていくのではないかなと思っています。だから綾部小学校の教育は全国がとても注目すべきだと思います。

根拠がないと相手は納得しないと思います。感情論では、結局、お互いの折り合いのつけ方も難しくなってくるので、人間関係づくりでもやはりそこは大事なのかなと考えています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

子供同士の関係、先生との関係、家庭での家族との関係も変わってくるので、生活指導も楽になると思います。突然切れたり、引っ込むということも減ってくると思います。

それから、実際に教員の方はみんなで取り組もう!という雰囲気なのか、それとも色々苦労するかな・・という雰囲気なのか、そのあたりはいかがですか?

実際のところ、新しいものを導入すると伝えたときは、構えられる方はいました。ただ、全教職員の思いとしては、子どもたちの課題を何とかしたいというのが根底にありますので、子どもたちを変えていくために必要だなということは校内の研修などで感じていただいたのではと思っています。

福井先生

福井先生

小学校で論理エンジンスパイラルを導入後の子どもたちの変化

出口先生

出口先生

経緯をちょっとお話ししますと、論理エンジンスパイラルを小学校1年から6年まで導入することが決まり、実際に私が小学校に行き研修も行いました。
そこで、私も気づいたのですが、今まで私立の学校の導入でも、仕方なくやらされている、本当は嫌だという先生が中にはいたのだと思います。
全員が賛成というのは、現実的ではないというか。そういった中で、綾部市の先生方は前向きに取り組もうという意欲を強く感じられました。
新しい教材を入れるのは、かなりの負担だと思うのですが、そういった中で積極的に子供たちのためにやってくださいました。

では、実際論理エンジンスパイラルを小学校1年から6年まで全員がやることによってどうなったのか。とても興味があるので、是非報告をお願いします。

本校では、論理エンジンについて考えていく論理エンジン部というのを作りました。
国語を中心に考えていますが、言語が全ての基盤になってきますので国語だけに限らず、他の教科にどう生かすか、また子供たちにどう効果が出ているのかということについて研究を進めています。
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実際に使用して感じているのは、論理エンジンは、学習する内容が小分けになっているので、子どもたちは、わかりやすいようです。
低学年は45分間ずっと集中するのは難しいですが、中高学年の子どもたちは、このテキストを使い1時間で学習できています。
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学年によって少し違うのですが、国語の学習の中で、文の要約、仲間の言葉も論理エンジンのテキストに入っているので、実際の国語の教科書と学習が繋がっていく。さらに、低学年から続けていくことで、文章の繋ぎ言葉、接続語も子どもはなかなか使えないのですが、作文の中で使ってみようという意識が見られたり、発表の中でもその接続語を使って話をしてみようというような姿が見られているので、すごく効果的だと感じています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

子どもの反応として、論理エンジンの授業が楽しいという子が多いのか、嫌だなという子が多いのか。その辺はいかがでしょうか。

実際に私が授業に入ったこともありますが、全員が楽しんでやっているかというと、学力差ももちろんありますし、そこまでは言えないです。でもテキストの中でキャラクターを上手に使っていて、楽しい例文が入っているので、子どもたちは肯定的に学習に向かっているなと感じています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

ありがとうございます。
子どもたちが、話し方が少し変わるとか、あるいは書く文章がちょっと変わっていくとか、そういったところは見られますか?

そうですね。1年生の担任から聞きますと、今まで見た1年生よりも話し方について、書き方についてはできているなと感じるということを聞きいています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

それはいいですね。
1年の変化でそのような感じであれば、小学校で6年間やっていくと変化が楽しみですね

そうですね。やはり1年だけで評価するのは、教育は難しいと思うので、この子たちが今後、中学生・校高校生になったときに、どう変わっていくかというところを見ながら進めていきたいなとは思っています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

小学校1年生と小学校5・6年生では反応が違うと思いますが、その辺はいかがでしょうか?

そうですね。低学年は、わいわいみんなで例文を参考にしながら、こんなことも言えるよねと色んなことをお話ししながら進めています。高学年は文の要約であったり、読み取りの仕方であったりとか、グっと深く考えて授業に向かっているというような様子です。

福井先生

福井先生

小学校で論理エンジンスパイラルを導入した先生の反応は?

出口先生

出口先生

今度は先生方の反応を教えていただければと思います。

教員も最初は大変なところも見られました。
新しい授業の指導案がないものを、1・2年生は45分間で、3年生以上であれば25分を2コマまで1時間と捉えて授業をしていますが、どう進めたらよいのだろう・・という迷いが実際にはありました。
ですが、やっている中でどんな風に指導したらいいか、タブレットも1人1台持っている、その辺も上手に使いながら子どもに分かりやすい、そして自分自身も学ぼうという意識を持ちながら指導ができつつあるのかなと考えています。
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学習内容は明確なので、今日はこれを指導する、またそのうちこれに出会った時に子どもたちが論理エンジンでやったよねと言えるように、どうつなげるかということを考えながら授業ができるようになってきています。それから、国語だけじゃなく、他の学習でもどう生かすかっていうところも何かあると思っております。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

学校の先生は勿論、この受験生時代、国語を勉強したと思うのですが、今まで自分が考えた国語と違うとか、こういうことだったのかという新たな発見などなかったでしょうか?

私自身は国語・現代文がすごく苦手だったので、そういう風な繋がりで読めば良かったのかとかいう発見は凄くありました。物語文、説明文などを指導する時も注目する視点はちょっとずつ変わってきています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

先生同士でここをどうしているのか・・など、交流はあるのでしょうか?

1学年に2クラスや3クラスありますので、どこまで進んでいるのか進捗の確認をしたり、こんな風に教えたら子どもたちの反応はよかったよと情報交換をしながら進めています。

福井先生

福井先生

公立小学校に論理エンジンスパイラルを導入して日本の教育が変わる

出口先生

出口先生

これを続けていくことで、学校が変わっていってほしいなと思います。そういう可能性を感じますよね。
論理エンジンの導入は、殆どが私立の学校なのですが、公立に導入ということに関して、やっぱり私は特別な意味があると思っていますが、福井先生はどうお考えですか?

学力については、選抜試験を受けて入ってきた方ではないので、高い子も低い子もいますし、家庭環境も複雑な子もたくさんいますので、そういう子たちが全て学力をつけていくという上ではすごく効果があると感じています。
今1年目で、今後続けていき、学力の低い子が上がっていくということに意味を見いだしたいなと思っているところです。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

綾部市だけでなく、今後中学・高校と連携を取って、教育全体が変わっていくような試みの第1歩になればと思っています。ぜひ、全国の人たちが綾部小学校の教育に注目をしてもらえるとよいですね。本当に福井先生の役割はとても重要ですね。

はい、今後の展望として本校のほかに綾部市で3つの小学校に導入をさせていただいたので、そこから中学校がどう変わっていくか、どう繋ぐかというところはすごく大事かなと思っています。

また、その小学校3つがどう連携を取っていくかということももっと考えていきたいです。
今年は1年目でしたので、学校でやるということで限界を感じていたのですが、来年度は2周目に入るので、そこからどう変わっていくか、どう繋いでいくかというところが大事だと考えています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

綾部の3つの小学校が横の連携をして論理を教えていく、あるいはそこから中学校と縦のつながりができると、市全体の教育が変わることが実現できると思います。
私は公立の教育が変わらなかったら本当の教育改革にならないと思います。お金のある私立の子だけがよい教育を受けるのは、本当に日本の教育を変えることにならないと思うので、そういう意味では綾部の小学校の教育というのはすごく注目して大事に思っていますので、今後ぜひよろしくお願いします。

引用:出口汪の学びチャンネル

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