論理エンジンをグループワークで
加藤 話が少しそれますが、私の指導におけるもう一つのキーワードは、「学び合い」です。教師が全てを自分の側で引き取ってしまって論理エンジンを指導しようとすると、おそらく分厚い解説書が必要だし、教師の技量に委ねられるところもあります。
でもOSの場合には、たかだかあのレベルなので、子どもたちも臆せずにいくらでも発言できるんです。なので、私の場合には36人のクラスなのですけれども、それを様々なサイズでグループ分けします。例えば3人ずつ12のグループを作る時もあれば、9人ずつ4グループの時もあります。
問題によって、「あっ、これはいろんな意見が出てきそうだな」と思う時には大人数で組みます。「これはもう確認だけだな」と思う時には少人数で組みます。あるいは隣同士ペアでということもあります。
そして最初にある程度時間を与えて、「じゃあ今から、レベル20のステップ1から3までやって。時間は7分ね」と振って、時間が来ると「じゃあ、そこでやめて3人組」と、3人で組ませ、そして答え合わせをさせます。解答は見せません。
で、「自分たちでまずは正解を作りなさい」と言うと、生徒同士見合って「みんな一緒だな」ということもあれば、「あれ、違うな」ということもあり、一斉に話し合いが始まる。グループで1つの正解を作らなくてはならないので、「なぜ?」「なんで?」という話になっていき、最終的に答えが一つにまとまります。
その後私は黒板の前でその答えを発表させますので、簡単ですけれども、なぜその答えに至ったか、を説明する発表原稿も書かせていきます。
例えば12グループあると、その全部が全く同じ答えであることはあり得ません。結果は同じでもプロセスが違っていたり、あるいは違った答えを出していたりするのです。いろいろあって実に面白いですよ。
ですから極論すれば教師の側が正解を別に持っていなくてもいいんですね。子どもの持っている自己教育力は非常に高いんです。子どもたちに発表させて、ディベートじゃないですけれど、一番支持された答えが正解で構わないです。
違う答えもおそらく実は間違いではないんですよ。いわば全部解答書に載せるべき答えなのだと思います。間違いではないので、「みんなそれなりにOKだよね。でもこの中でどれが一番良いと思う」というような流れで1つの正解が決まり、それが解答書と違っていたとしても、「これは君ら36人が考えた答えで、私もそれでいいと思うよ。じゃあこれも模範解答に加えておこう」と。私なんかそういう風にやっちゃいますね。
そういう風に「学び合い」をさせることによって、クラスも活気が出てきますし、教師も生徒の反応を見ながら、それに応じた指導をすることができます。
論理エンジンを「教え込もう」と考えている先生は、「教材研究に時間がかかる」とお思いになるかもしれませんが、そんなときには「学び合い」を積極的に取り入れることによって、今までの指導から少し外に出られるかもしれませんね。