コラム

論理エンジン研修会の超人気先生~開智学園開智高等学校・加藤克巳先生~【前編】(3)「家庭の中でも論理が生きる」
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Writer S
開智学園
加藤克巳

前回に引き続き、開智高校・加藤先生に直接インタビューした模様をお届けします。

保護者の理解を得る取組み


―― 先生は対教員だけではなく、保護者に対してもいろいろと講座を開いておられると伺っているのですが。

加藤 そうですね。本校では保護者講座というのがあって、昨年度はその中で「大人に効く論理エンジン」という保護者向け講座を2回やらせていただいて、非常に多くの保護者が来て下さいました。

またそれとは別に、夏の7、8月には本校の保護者ではなくて、本校を受験する中3生や、その中3生の保護者の方々に、「S類に入ってくるとこういう授業が受けられます。」というプレゼンテーションを行いました。そこで中学生に対して論理エンジンの入口のところをちょっと体験してもらうんですね。

すると国語が苦手な中学生はすごく多いので、「国語の力が伸びる」というお題目が出ていると、やはり目が行くんです。その中で論理エンジンをこういう風にやっていくと説明しています。ごく当たり前のことしか書いていなくても、その当たり前のことすらきちんとした指導を受けさせてもらえなかった生徒が多いわけですから、それが新鮮に映るんですね。当たり前のことが論理的に書かれていると、「なるほどな」と納得もするわけですね。

すると、「あっ、この学校面白いかもしれない」と説明会に来てくれる。そこで実際に私が授業をやってみせる。というようなことを募集のステップとしてやっています。

募集が秋口から冬に一段落しますので、3学期には、先ほどお話ししたように、校内の高1から高3生の保護者に対して、実際にお子さんたちがどういう授業を受けているのかをイメージしてもらうために、「大人に効く論理エンジン講座」を行います。

そういうことをやると、例えば保護者からの感想で、最近子どもが親に対して、「お母さん、結局何が言いたいんだか、もうちょっと的を絞ってよ」などと言うようになってきて、「加藤先生のこういうお話を聞いているので、息子も随分変わってきたんだと思います」という感想をいただくこともあります。嬉しいですね。この時点で実は保護者の意識がすでに変わっている。それが嬉しいんです。

あとは例えば、企画書・レポートの書き方のようなものですね。どなたも会社の中でごく当たり前にやられていることですが、それをあえてちょっと変えてみせてあげるだけで、「なるほど、そういうこともあるか」という形で納得していただけたり。

そういう意味で保護者の方にも何らかの還元ができるといいと思っているんです。

家庭の中でも論理が生きる


―― 最近、“モンスターペアレンツ”が話題になっていますが、やはり中身やプロセスが見えないから、表層的に物事を捉えてしまい、そこに対するクレームになっているかと思うのです。先生のように中身をきちんと説明していく、子どもたちの変化を身近で感じ取っていただくことは大事なことですね。

先生の授業によって、今まで感情語しかしゃべれなかった子どもたちが、きちんと筋道を立ててものが言えるようになる、時には親が言った感情語に対して切り返してくる。まるで論理エンジンを家庭の真中に置いているかのように論理的な会話が弾む環境をお作りになったわけで、先生はすごいことをなさったんだなあ、と今ひしひしと感じました。

加藤 特に母親というのは、高校生ぐらいの子どもに対して「もうなんでそうなの」とか「やだ、もう。あんたは」と言うんですね。口癖みたいなものです。だから、そんなお母さんたちに、「今日、私の講座に出ていただいた以上は、『なんでそうなの』とか『やだ、もう』はやめてください」とお話しています。これは完全に感情語ですから。

“論理的”というと何となく、生徒も保護者の方も、詭弁であるとか、理屈っぽい、相手を言いくるめるとか、そういう印象をお持ちになってしまうと思います。わが子が論理的になるというと、堅物になって、口ばっかりの鬱陶しい奴になるようなイメージになってしまうと思うのです。

本当はそれと全く逆で、誰に対しても分かりやすいこと、非常に明快であること、これが論理的ということなのです。論理的であればあるほど、多くの人たちと平易な言葉で明快にコミュニケーションが取れるようになるのです。

そういうことへの理解を目指しているので、保護者の方々に「だってお母さん『やだ、もう』って言ったとき、自分のそのイヤさ加減は相手に伝わらないでしょう。だからそれをきちんと、なぜ自分がイヤなのかが伝えられるようにならないと。そういうお子さんに育ってもらいたいとお思いになりませんか」という話を差し上げています。すると、非常に納得していただけるんですね。

―― 素晴らしいですね。論理エンジンを開発当初は試行錯誤の連続でした。その中でも出口がブレなかったのは、加藤先生のように、子どもたち、学校、先生に対して「こうあってほしい」という強い信念があったからです。

母語として日本語を使っている以上、日本語を使いこなせない人は、社会人としてどこか足りない点があるのではないか。そして使いこなせた人は、その人の人生が広がるような武器を手に入れたことになる。そういうことを10年以上前から言い続けてきましたが、先生のお話を伺って、いままさに開智高校でそのような素晴らしい環境が具現化されていると知り、非常に嬉しく思います。

加藤 先ほどお話ししたように、今年度(22年度)一年間かけて、論理エンジンの指導に当たっている教員以外の、国語の教員や他教科の教員にも、論理エンジンの研修を行っています。狙いは、次の23年度にすべての教員が各教科の指導の中で、論理エンジンの用語を用いて、論理エンジンの思想を語ってもらうことにあります。

次回(4)に続く・・・

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