今回は記憶についての後半のお話。長期記憶に関するより実践的な内容です!
コツコツ覚えるのは間違い!?
前回はエビングハウスの忘却曲線を使って説明をしました。今回は実践的なデータを紹介します。
これは受験で非常に役に立つデータだと思いますよ!
例えば、コツコツ覚えなさいというのは嘘。では、どこに嘘があるのか・・・。
英単語を1日10個コツコツ覚えたら、365日で3650個覚えられると言う人がいます。でも、これは「忘れる」ということを無視しています。
1日10個を覚え続ても、ある時1日20個を忘れているかもしれないのです。
では、どうすればよいのか。このグラフを見てください。
例えば、英単語を例に挙げると、今から覚えるとなると時間は。記憶量は100全部覚えたとしましょう。そうすると、1回目の1年後はおそらく20~30%くらいしか覚えてないとなります。
忘れないためにはどうしたらよいか・・
それは繰り返してまた記憶量を100まで持っていくのです。
同じことを2回繰り返すよりも、2倍英単語を覚えた方が得だと思う人もいるかもしれない。しかし、これも論理的に間違いです。
なぜなら、80は記憶をしている段階なので残り20を覚えればよいのです。だから倍のエネルギーは必要なく、ちょっとやれば思い出すことができる。そうすると、1年後には40~50%に記憶量が上がっていくのです。
大切なのは、記憶は今の地点で測るのではなく、それを必要とする受験の時期にどれぐらい記憶量があるかということを考えておくことです。
100個の英単語を完璧に覚えて、1年後にはどれだけ記憶しているか・・です。
そのためには、何回繰り返せばいいのか。
実験データから見ると、大体1年間記憶しようと思ったら4~5回で1年間記憶するとエビングハウスでもわかるように、オートマチックに近づきます。
完全に習得する=記憶するところまでは持っていかないと意味がないのです。これが大事です!!
次に、前回のコラムで前頭葉の判断で一時的な保管場所の海馬に保管するのではなく、長期的な保管場所の側頭葉に入れ替えるというお話をしました。
では、前頭葉がどうして大切な記憶すべき情報であると判断して長期記憶にしているのか。
それは、「理解をする」「体系付ける」あるいは「整理をする」ということで、これは忘れるべき記憶じゃないと判断しています。
例えば年号のゴロあわせなど、何らかのイメージをつけてやれば、これは長期記憶になってきて、それを繰り返すことによって脳は、これは長期記憶の保管場所にしっかり置いてくれるのです。
まとめると、やはりただの暗記じゃなく、理解をし、論理的に整理をすると長期記憶になりやすいということです。さらに、4~5回繰り返すことによって忘れなくなる。
4~5回も繰り返すなんて、大変だな・・と思った人もいるかもしれませんが、次にお話するようにやってみると決してそんなことはありません!
4~5回の繰り返しの具体例
具体的に、受験生の勉強法を例に挙げていきましょう。
国立は色々な科目があって大変です。膨大な量をただ全部記憶しても長期記憶にはなりません。先ほど、コツコツは記憶しないと言いました。つまり、本当に大切なのは繰り返しやってオートマチックに持ってくる。
英語を例として説明します。
◆1回目:予習として自分で読んでみる。
自分で読んでみる、訳したら1回頭に入っていますよね。しかも初見の文章を自分の頭で読むというのが、実際の試験でも非常に強みになります。
◆2回目:授業で理解する
実際の授業で理解を深めます。
◆3回目:復習
授業で深めた理解を復習して書いたりすることで長期記憶になってきます。
◆4回目:定期試験前の勉強
中間や期末試験の前に再度繰り返し習熟を高めます。
◆5回目:長期休暇中にもう1回!
夏休みなどに、再度繰り返すことでオートマチックに!
受験の直前で再度確認をするのもよいですね。すると、受験前の1月や2月には完全にオートマチックになります。さらに身についた知識を使って考えることができる、文書を読むことができる、問題を解くことができるようになっています。
知らない新しい文が出てくれば、雪だるま式に知識が増えていきます。特に社会科は、雪だるま式のやり方が非常に有効です。
本当に膨大な勉強をしなくてもよい記憶のやり方なので、これを知っているだけで全然違います。
もちろん、社会人も同じです。このことを踏まえて、この科学的なデータをに沿った勉強の仕方をして欲しいと思います。
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