コラム

知らないと後悔する記憶法【前編】短期記憶と長期記憶
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出口 汪
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受験生

今回は記憶の話です。記憶について知っているか知らないかで「中学生・高校生・受験生の勉強の仕方」「社会人の仕事の仕方」の成果が違ってきます。

記憶に関する科学的な知識

受験競争において、記憶について知らないことは圧倒的に不利です。
ということで、まず記憶についての最低限の科学的な知識についてお話します。

◆脳の忘れるメカニズム

記憶したことをずっと忘れなかったらいいのにと思いますよね。ところが、人間の脳は忘れるようにできています。
どういうことかと言うと、私たちは朝起きてから夜寝るまで、無限という情報を目・耳から入れています。それを忘れることができなかったら、当然脳はパンクします。例えば、暗算で43かける4を暗算しようと思えば、“さんしじゅうに”で繰り上がってこの1をいったん覚えますよね。でこの1という数字を忘れることがなかったらどうなるのかといったらば、暗算をするたびに無意味な数字が脳に残ってしまい、恐らく発狂します。

記憶したものを取り出すとき、整理されずに乱雑な情報が脳にあると、そこから必要なものを1個取り出すのは大変です。だから脳は忘れるようにできている。そのおかげで、生活ができているのです。

◆「短期記憶」と「長期記憶」

実際に脳の前の方にある海馬(かいば)に一旦保管されたものは放っておけばすぐに消えてしまう、つまり海馬は一時的な保管場所で「短期記憶」といいます。
長期にわたって記憶しようと思えば、前頭葉というのが判断をして側頭葉に保管場所を移動します。これが長期記憶です。

記憶は「短期記憶」と「長期記憶」の2つがあるということを知っておいてほしいのです。
そして、実際に仕事に役立つ情報や学習においては、短期記憶では駄目で、長期記憶でないとダメなのです。

もちろん、短期記憶でうまくいく時もあります。例えば、中学生・高校生の中間期末など定期試験の前の一夜漬けの勉強。次の日だったらば、ある程度記憶が残って何とかなる。でも1週間後には消えてしまいますよね。この一夜漬けというのがまさに短期記憶です。

あるいはセリフを覚えなければならないという場合。舞台に立つ前日に覚えたら、時間が経てば忘れてしまうけれど、次の日ならばまだ記憶している。一時的に覚えるだけでいいのならば、短期記憶でよいと思います。

どれくらいで忘れていくのか

では、どれぐらいで忘れていくのかというと、有名な「エビングハウスの忘却曲線」を紹介しましょう。古い話なのですが、エビングハウスという人が実験したものです。
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<実験内容>
時間が0のとき、英単語を100個覚えたとしましょう。
記憶量が100でどれぐらいで忘れていくのかといったら・・・

<実験結果>
20分後には42%忘れる
1時間後には56%忘れる
1日後には74%忘れる
1カ月後には79%忘れる

これを見ると、一夜漬けでも74%忘れていることになります。
また、この忘却曲線の注目すべきところは、最初にどっと忘れていくことです。


ある程度忘れたらば、覚えているものが20%くらいあるという結果になっています。
受験生で言うならば、今が0とすれば、記憶量はどこで測定するか。例えば1年後の入試の時点、高1・高2なら2年後・1年後の入試の時点で100まで記憶を持っていかないと試験には役に立たないのです。
今覚えても結局、試験の時にはほとんど忘れている。では一夜漬けみたいに試験の前日に勉強すればと思うかもしれないですが、中間期末は範囲が限られているが受験というのは膨大な範囲で、いろんな科目があるから一夜漬けは無理ですよね。

「忘れていく」という記憶の問題にどう対処するのか?

エビングハウスの忘却曲線というのは、かなり古いデータであると同時に無関係な音をどれぐらい記憶したのかという実験です。
無意味や無関係な音ではなく、しっかりと理解をして整理すれば、この曲線というのはかなり変わってくると思います。

次回はどうやれば、長期記憶で受験や仕事に記憶を生かすことができるかという具体的・実践的な話をしていこうと思います。
非常に大事な話なので、後編(3/15掲載予定)もぜひ読んでいただきたいです!

引用:出口汪の学びチャンネル

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