記憶に関する科学的な知識
受験競争において、記憶について知らないことは圧倒的に不利です。
ということで、まず記憶についての最低限の科学的な知識についてお話します。
◆脳の忘れるメカニズム
記憶したことをずっと忘れなかったらいいのにと思いますよね。ところが、人間の脳は忘れるようにできています。
どういうことかと言うと、私たちは朝起きてから夜寝るまで、無限という情報を目・耳から入れています。それを忘れることができなかったら、当然脳はパンクします。例えば、暗算で43かける4を暗算しようと思えば、“さんしじゅうに”で繰り上がってこの1をいったん覚えますよね。でこの1という数字を忘れることがなかったらどうなるのかといったらば、暗算をするたびに無意味な数字が脳に残ってしまい、恐らく発狂します。
記憶したものを取り出すとき、整理されずに乱雑な情報が脳にあると、そこから必要なものを1個取り出すのは大変です。だから脳は忘れるようにできている。そのおかげで、生活ができているのです。
◆「短期記憶」と「長期記憶」
実際に脳の前の方にある海馬(かいば)に一旦保管されたものは放っておけばすぐに消えてしまう、つまり海馬は一時的な保管場所で「短期記憶」といいます。
長期にわたって記憶しようと思えば、前頭葉というのが判断をして側頭葉に保管場所を移動します。これが長期記憶です。
記憶は「短期記憶」と「長期記憶」の2つがあるということを知っておいてほしいのです。
そして、実際に仕事に役立つ情報や学習においては、短期記憶では駄目で、長期記憶でないとダメなのです。
もちろん、短期記憶でうまくいく時もあります。例えば、中学生・高校生の中間期末など定期試験の前の一夜漬けの勉強。次の日だったらば、ある程度記憶が残って何とかなる。でも1週間後には消えてしまいますよね。この一夜漬けというのがまさに短期記憶です。
あるいはセリフを覚えなければならないという場合。舞台に立つ前日に覚えたら、時間が経てば忘れてしまうけれど、次の日ならばまだ記憶している。一時的に覚えるだけでいいのならば、短期記憶でよいと思います。