コラム

公立学校を変える挑戦の結果報告(京都府綾部市)~ 第1回 綾部市が考える「教育の普遍的なもの」とは~
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出口 汪
出口式
論理エンジンスパイラル
論理エンジンキッズ
公立
綾部市
京都
公立

公立の教育が変わらなかったら本当の教育改革にならない、ということでスタートした京都府綾部市の小学校での1年間の取り組みについての結果報告の第1回目になります。

学習指導要領が新しくなり、現場ではどのように子ども達への教育方法を検討しているのか、現場の先生にお話しを伺いました。

思考力、判断力、表現力を身につけるための学習方法

出口先生

出口先生

みなさん、こんにちは出口汪です。
今日はとても面白い話になると思います!京都の衛星都市のひとつの綾部市の小学校3つのうち、一番大きな綾部小学校で、昨年度から論理教育、論理エンジンスパイラルを全生徒に導入してちょうど1年が経ちました。その研究会の主任でいらっしゃる福井先生をお招きしてお話を伺います。早速ですが、現場の今の状況をぜひお聞かせください。

はい。綾部市立安部小学校の研究主任をしております福井と申します。よろしくお願いします。

images本校の研究について、順を追ってお話をさせていただきます。2020年から新学習指導要領が始まり、学びに向かう力、人間性、そして知識技能、思考力、判断力、表現力を身につけていくために、子供たちにどう学習をさせるか学ばせるかということを研究してきました。その中で、どのように学ぶかというところについて本校としては特に注目をしています。

images子供たちはそれぞれタブレットもあるので、一人で学ぶことができます。でも、学校という場所で一緒に学ぶ上では対話的に学んでいく必要がある、ということを感じていまして、そこに注目をした研究を構想し始めました。
昨年度、本校が研究をしていた内容ですが、対話を通して子供たちが課題を解決していくような形に進めていきたいなと思っていたのですが、なかなかうまくいかないなということが年度の中でわかってきました。
具体的にどんな課題があるかと言いますと、話し合いや学び合いの土台になる部分。特に自分の思いが語れないで、相手の思いをしっかり受け止められないという課題が大きいなと思うようになってきました。ここを解決しないことには、対話的な学びというのは実現ができないなと考えまして、今年度の研究に結びつけようということになりました。

本年度の研究としては、論理的に話したり書いたりすることで、自分の思いを伝えるということ、相手の考えを理解したり、文章に書かれていることを読み取ったりするということをできるように、国語を中心に言語力の育成を図りたいと研究を構想しています。

福井先生

福井先生

学習指導要領の大改革の対応

出口先生

出口先生

私がすごく気になったのは、学習指導要領も12年に一回の大改革で、文科省はとにかく教育を変えたいと音頭を取っていると思います。地方都市の現場も本気で教育を変えようという風に熱意を持って取り組んでいるように思われるのですが、その辺はいかがでしょうか。

そうですね。外国語が入ってきたり、プログラミング教育が入ってきたり、ICTの活用の部分が入ってきたり、何を主において子供たちを育てるかというのは、今回、大きな改訂でしたので、学校ごとにどんなことができるのか、すごく頭を悩ませました。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

昔、ゆとり教育が始まった時は、私のイメージでは文科省の思惑と現場の混乱で、そこに乖離がある印象を持ったのですが、今はそうではないですか。

私自身の考えとしては、改定になる前に文部科学省の方から色々と情報提供をいただいていたので、それをもとにこれまでやってきたことを新しく変えるというよりもアップデートしていくというイメージで捉えると、良いのかなと考えています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

ということは綾部小学校としては元々、暗記中心や詰め込みではない教育をやっているということですね。

そうですね。そこを大事にしながら、子ども達同士が学んでいく、どのように学ぶかということを教師がコーディネートできたらいいなという風に思っています。

福井先生

福井先生

人と人のつながりを大事にした教育には論理力が必要

出口先生

出口先生

小学校で今、先生の仕事が多すぎると社会問題になっています。中学校以上ならば、専門の教科の先生がいます。小学校はひとりの先生が色々なことを教えなければならず、さらにそこにIT教育が入ってくる、さらに英語が入ってくる、プログラミングが入ってくるとこれは大変ですよね。そこにまた新たに・・と言われてもそれは大変ですよね。

そうですね、現場としては、改訂のタイミングで疲弊感というか、何をしたらいいのかなと混乱もあったのですが、その中でも普遍的なものというのが教育の中にはあるのではないかなということを考えました。それは、人と人とのつながりを大事にした教育じゃないかなと捉えています。

福井先生

福井先生

出口先生

出口先生

今のお話でとても私は安心しました。実際に教育をやっている中で重要だと見えてきたのはアクティブラーニングです。
一方的に先生の言った情報を、子供たちが何も考えずに鵜呑みにして、それを詰め込まれたかどうかテストしていくというような流れではなく、子ども達が自分で考えて発言し、あるいは先生と生徒の双方向でこのものを考えていくというのは、私は新しい教育にとってとても大事だと思っています。そして、それには論理力が必要となってくるのです。

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綾部市の論理エンジンスパイラルを導入した結果報告の第1回目はここまです。
次回は、論理エンジンスパイラルを実際に1年生から6年生まで使用して、どうだったのか・・という具体的な内容になります。ぜひ、次回(11/17)もお楽しみに!

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