コラム

筋道が見えると学びが変わる~論理エンジンが育てる読解力~
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出口 汪
論理力
読解力
論理エンジン

「論理」と聞くと、大学で扱う抽象的な学問や難解な議論を想像する人は少なくありません。一方で、「国語」はもっと身近な教科だと思われがちです。しかし、この二つは実は密接に結びついています。論理エンジンが目指す「筋道をとらえる力」と、それが学び全体に与える影響についてお話しします。

筋道を立てるということ

論理エンジンで扱う「論理」は、専門書の中にある難しい理論ではなく、日常にも存在する「物事の道すじ」です。
例えば会話では、相手に誤解なく意図を伝えるために筋道を立てて話します。これも立派な論理の働きです。

また、人は誰もが「他者」です。体験や背景は異なり、完全には分かり合えません。文章となれば、読み手は不特定多数の他者ですから、書き手は必ず筋道を組み立てなければなりません。
読み手もまた、その筋道を追うことで文章全体の見通しが立ち、要点を的確に押さえられるようになります。

読解力がすべての教科を底上げする

論理的に読む力は、現代文だけでなく英語・古文・漢文など他の言語教科にも効果を及ぼします。さらに、要約や文章題の解答、資料読み取りなど、幅広い学習に応用できます。
重要なのは、内容を理解するだけでなく「根拠と構造をとらえる習慣」を持つことです。

入試で問われているもの

東京大学の現代文と共通テストの評論問題は、実は文章の難易度や構造に大きな差がありません。にもかかわらず「共通テストは基礎」「東大は超難関」というイメージが強いのは、多くの人が文章を「なんとなく読む」癖から抜け出せていないからです。

選択式問題では感覚で答えてしまっても正解する場合がありますが、記述式ではそうはいきません。筆者の筋道を正確に理解し、自分の言葉で再構成する力—これこそが論理力です。

「感覚頼みの国語」からの脱却

「国語はセンスの教科だから、勉強しても伸びない」という思い込みは根強くあります。しかし、入試に出る評論文や文学作品は、日常で触れる文章とは異なり、論理構造を意識しなければ理解できません。
小説問題でも、切り取られた一場面から背景や人物像を客観的に推測する必要があります。これは感覚ではなく方法論と訓練で身につく力です。

習熟が生む「無意識の論理」

外国語と同じく、論理も繰り返し使い続けることで身につきます。最初は意識して筋道をたどりますが、習熟すれば自然と論理的に考えられるようになります。この状態が、論理エンジンが目指す到達点です。

論理はすべての学びを支える基礎です。「感覚まかせ」から抜け出し、筋道を捉える読解力を磨くことで、学力は確実に変わります。

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