記憶するよりも必要な情報を効果的に整理して使うことが重要なのです!長期的に忘れないようにするには、どうしたらよいのかについてもお話します。
記憶術の原則:覚えないこと
皆さん、こんにちは。出口汪です。
私の本「最強シリーズ」をご存知でしょうか?私は勉強の仕方に強いこだわりを持っていて、特に受験勉強経験者の方には、その成功体験が生涯の勉強法に縛り付けてしまう危険性があると感じています。
大学に合格できなくても、本当に正しい勉強法を身につけることができれば、それは人生においてずっと役に立つはずです。そして、その勉強法の核となるのが記憶の仕方です。
しかし、今の時代、本当に記憶力は必要なのでしょうか?ネット検索で何でもわかる時代、記憶すること自体が時代遅れになっていると感じる人も多いかもしれません。
確かに、昔のように知識量だけで尊敬される時代は終わりました。情報過多の現代においては、必要な情報を効率よく検索し、理解し、活用する能力こそが重要です。
私は「覚えなければいけないもの」と「覚える必要がないもの」を明確に分けています。
記憶とは、反復しなければどんどん忘れていくものです。つまり、いくら知識を詰め込んでも、使わなければ消えてしまうのです。
例えば、中学・高校のテスト対策のように、短期的な記憶は必要かもしれません。しかし、大人になって教養を深めたり、スキルを身につけたりする場合、本当にすべての情報を記憶する必要があるのでしょうか?
重要なのは、必要な情報を理解し、整理し、実際に使い続けることです。使っていれば、自然と記憶に残ります。
つまり、記憶に頼るのではなく、理解と活用を重視する時代になったのです。
記憶の効果的な使い方
「子供の頃から英会話をやらせる意味はあるのか?」
この問いに対する私の答えは、ズバリ「今の日本の状況では、意味がない」です。
もちろん、個別のケースは様々です。インターナショナルスクールに通ったり、海外留学したり、海外で生活するなど、英語を使う環境に何年もいるのであれば、話は別です。しかし、一般的に日本の子供たちが小学校で英語を習ったところで、実際に使う場面はほとんどありません。
いくら覚えたとしても、使わなければ忘れてしまいます。週に1、2時間、英語を学んだところで、その知識を活用する場がないのです。
大切なのは、一生使えるもの、身につくものを学ぶことです。
例えば、私は本を書くとき、記憶に頼りません。むしろ、自分の曖昧な記憶を頼りに書くことは危険だと考えています。なぜなら、間違った記憶に基づいて書いてしまう可能性や、重要な情報を忘れてしまう可能性があるからです。
今は、インターネットで簡単に情報検索できます。必要な情報があれば、すぐに調べればいいのです。
つまり、記憶よりも重要なのは、理解と活用です。
子供に英語を学ばせるにしても、ただ単語や文法を暗記させるのではなく、実際に使える場面を想像させ、興味関心を引き出すことが大切です。
そして、大人になっても、常に学び続ける姿勢を持ち、新しい情報や知識を積極的に活用していくことが重要なのです。
必要な情報の整理と管理方法
「記憶力」という言葉は、どこか特別な能力のように聞こえます。しかし、実際には、記憶は誰もが持っている、ごく当たり前のものです。
問題なのは、「覚えること」に固執しすぎることです。
例えば、初めて出会った10人の名前を覚えることは、ほぼ不可能です。しかし、仕事で何度も顔を合わせ、関係性を築いていくうちに、自然と名前を覚えることができるはずです。
つまり、記憶とは、使うことで定着するものなのです。
自分の専門用語や専門知識は、仕事で常に使うため、自然と記憶に残り、忘れることはありません。理解さえすれば、あとは使うことで深まるものです。
逆に、使う必要のない情報は、いくら覚えようとしても、すぐに忘れてしまいます。頭の中に不要な情報が溢れれば、必要な情報を見つけることも困難になります。
机の上に資料の山が積まれている状態を想像してみてください。必要な資料をすぐに見つけることは難しいですよね。頭の中も、まさにこの状態です。
「覚える」のではなく「使う」ことを意識することで、記憶力は飛躍的に向上します。
必要な情報だけを整理し、カテゴリー別にファイル化しておけば、必要な時にすぐに取り出すことができます。
私は、これまで様々な仕事をしてきました。本もたくさん書き、多くの人々に教えもしてきましたが、一度も「覚えよう」と思ったことはありません。
自分にとって大切なことは、しっかりと理解することで、自然と記憶に残ります。そして、理解したことを人に説明することで、さらに記憶が深まります。
「記憶力がない」と嘆く前に、まずは「覚える」という呪縛から解放されましょう。
使うものだけを記憶し、不要なものは捨て去る。これが、効率的な記憶術の第一歩です。