コラム

論理エンジンと教科書の架け橋となる教材「思考ルート」第2部 学校改革のための「思考ルート」
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Writer S

前回に引き続き、開智高校の加藤先生による特別編のお届けです。加藤先生渾身の教材「思考ルート」はこれからの教育をいかに良い方向へ導いてくださるのでしょうか。それではご覧ください。

惜しげもなくすべてを披露

―― 繰り返しになりますが、「思考ルート」は、国語の授業に革命を起こすことができると思います。つまり、国語による学校改革と申しましょうか、教育革命的なムーブメントを起こせるほどの教材だと思うんです。
 「学校改革」を、私は加藤先生の一つのキャッチフレーズだと考えています。先生は、開智学園を完全に変え、短期間で躍進に導かれましたよね。

加藤 確かにS類ができて、うちは変わったと思います。

―― 論理力、先ほどの先生のお言葉を借りれば、知的基礎体力を鍛えることによって、先生はすべての生徒の意識を高めることに成功され、さらにそれをベースに、最終的には全ての教科の先生の指導法まで変えられました。
 また、国語教育を目玉とした生徒募集にも成功されていらっしゃいます。一方、学校法人様としても、開智未来という新設校を作られて、この県立王国の埼玉で、新設校にもかかわらず驚異的な単願率だったと伺っております。

加藤 はい。

―― このような成功を裏で支え続けたメソッドを、この「思考ルート」に惜しげもなく披露していただき深く感謝しております。開智を首都圏のトップ校にしたその授業が、「思考ルート」によって、または「思考ルート」の学校改革DVDも含む指導者用教材によって、ついに全国どこの学校でも実践することができるようになるんですね。一流校に手が届くところまでのヒントは、必ず与えてもらえる。
 私どもとしては、“学校改革の最終兵器”的な意味合いを込めて、自信を持って積極的に全国の学校に広げていきたいと考えています。

加藤 ありがとうございます。

加藤流“学びあい”について

―― 改めて思うのですが、グループワークにしても、ディベートにしても、雰囲気をいかに形成していくか、という部分が最も大切ですよね。加藤先生が大切にしていらっしゃる“学びあい”におけるコツのようなものがあればお教えいただきたいのですが。

加藤 一番のポイントは、子どもたちが話している話題をどうやって取り上げて、次の発問につなげるか、という、ここの機微です。そこがうまくできないと、学びあいもうまくいかないですね。

―― 開智の授業を見させていただくと、生徒のみなさんが積極的にグループを組んで学びあう姿にいつも感動させられます。指導者用教材で、ぜひ学びあいの実践方法の機微について、コツをつかまえていただきたいところですね。

先生、そして生徒に寄り添う教材
加藤 「論理エンジン」の良さというのは、高校生・中学生になってしまった生徒たちが、自分がどこで日本語につまずいたか、ということに、気づくことができるところだと考えています。
 だから、わざわざ易しい語彙で主語と述語から入っていくシステムを、出口先生も考えられたと思うのです。それによって、つまずきポイントがきちんと分かると。

――ありがとうございます。この「思考ルート」は、「論理エンジン」でつまずいたポイントを発見した後、具体的にその解決策を教科書の文章を使って提示していただける、という非常に斬新、かつ親切な作りをしていますよね。

加藤 高校現場は、どうしても教科書を使わねばならないという縛りがあります。ですので、教科書を使ってつまずいたポイントを確認・修正させていくという手段がとれると、先生方も生徒も一番勉強しやすいと考えました。

―― 担当編集からは、「思考ルート」は、とにかく使ってくださる先生に優しい教材を作りたい、というコンセプトから始まったと聞いています。なるほど、指導者用教材も、これをそのまま読むだけで、授業で使えるような語り口で書かれていますね。

加藤 はい。

―― 自分の指導方法に迷いがあったり、不安があったりしても、先生方は生徒と違って、話し合ったりする機会がなかなかありませんよね。ところが、「思考ルート」 の指導者用教材では、開智の生徒さんたちがやっているような学びあいまでも、先生方は手軽に学ぶことができる。

加藤 「論理エンジン」の方法論によって、教科書を勉強することを「思考ルート」では行いますよね。
 でも、教科書が読解できただけで満足したら、その生徒はそこで終わりです。もっと言うと、指導者が「思考ルート」で教科書を教え切ったと思って、この程度で「論理エンジン」でやっていることはOKなんだ、という認識をもったら、おそらくその瞬間、一番大切なことを得ることなく終わってしまうとさえ思っています。

―― おっしゃる通りですね。

加藤 「思考ルート」や「論理エンジン」の先にあるのは、うちがよく合い言葉にしている、「子どもを伸ばす」ということなんですよ。そこまで教師は見ていてほしい、そう思います。

―― 担当編集からは、「学力だけ伸ばして東大に入れよう」という考え方は、間違っているんだよ、という熱い思いが、加藤先生の原稿からは伝わってくる、と聞いています。

加藤 そんな感じですね。その考え方は、まさに私のベースですね。

(次回3回目に続く・・・)

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