言葉のつながり
言葉のつながりを意識する
言葉を、その前後のつながりから一つの意味で規定する力を、私は「文脈力」と呼んでいる。この文脈力さえつけば、未知の英単語や古語であっても、その前後から意味を推測することができるようになる。まずは「言葉は必ずほかの言葉とつながっている」ということを意識しよう。
自然言語は使う人により、あるいはその場その場で微妙に意味が異なる。と、前に述べた。たしかに、言葉はたえず揺れ動き、その場その場でさまざまな意味をもつ。だが、それは宙に浮いた言葉についての話で、文章中の言葉はいつでも一つの意味しかもたない。
言葉は文中に入った瞬間、その前の言葉や後ろの言葉に引っ張られ、一つの意味しかもたなくなる。もし、文中で言葉がさまざまな意味になるのなら、英語でも古文でも「傍線部を訳せ」などという問題は成立しない。
【解説】
品詞に感動詞というものがある。「やあ」「はい」がそれで、これらを独立語という。つまり、感動詞以外の言葉は、必ずほかの言葉とつながっているということができる。
そのつながり方は、次の二つである。
(1)文法的なつながり……副詞→用言(動詞・形容〈動〉詞)、連体詞→名詞など
(2)意味的なつながり……主語→述語、修飾→被修飾
この問題文も、感動詞以外のすべての言葉が必ずほかの言葉とつながっている。
言葉のつながりを考えることが、たとえば現代文の空所問題や古文の解釈で有効になってくる。