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探訪・論理の匠

論理の匠 vol.9

~能開センター(小中学生)・能開センター高校部 野口浩志先生~

一貫した「論理」による中学・大学受験指導

野口先生の教え子の大学生に、実際の指導の様子などを語っていただきました。

野口先生vs大学生座談会

<座談会ゲスト>
宇野 由希子さん(慶應義塾大学・理工学部)
菊 史佳さん  (東京大学・理科Ⅱ類)

 
初めて知った読み方

―― まずはお名前からお願いします。

宇野 宇野由希子です。慶應義塾大学に在学中です。理系なのでセンターと、あと国公立大学を狙っていた関係で、高3から野口先生に国語を習っていました。

―― 高3の最初、国語は得意でしたか?

宇野 いや、全く……小学校の時からずっと苦手で(苦笑)。記述の問題とか全く書けなくて、的外れなことばかり書いている感じでした。

―― それまで、野口先生に教わったような読み方で国語を読んだことは、ありましたか?

宇野 無かったです。

―― 先生が教える読み方を知った時、どう思いました?

宇野 今までの私のやり方ではできないのはわかっていたので、そのままを全部吸収しよう、その方法だけを信じていこうという気持ちで必死でした。

―― では、今までの自分の読み方と違うから馴染めないとか、そういうことは特に思わず、もう必死に食らいついて習得しようという感じですか?

宇野 はい。その方法しかないと思っていました。

野口 読み方のベースが無いですからね。

宇野 全く無かったです(笑)。

―― 野口先生がおっしゃる「イコールの関係」や「対立関係」、「因果関係」といった論理的関係について、「この文章構造はA→A´だな」「この段落とこの段落が対立関係なのか」みたいに理解できるようになるまでに、時間はかかりましたか?

宇野 最初は全然わからなくて、解説してもらった時に「ああそうか」ばっかりだったんです。でも夏かな? はっきりとは覚えていないですけど、「先生が解説でこう言うだろうな」っていうことが、やっていてわかるようになってきて、その時はすごく嬉しかったです(笑)。

―― それは、自分の中で理解できているっていうことですよね。

宇野 はい。常にではなかったですけど、そういうことがちょっとずつ増えていきました。

野口 最初は何を与えてもぜんぜん書けないか、書いてもまったく違うか、そのどちらかだったよね。それが国立大入試の前ぐらいまでには、少なくとも理系の生徒の中ではずいぶん書けるようになっていたと思うよ。

宇野 嬉しい(笑)。

―― 高3から入ってきた生徒の場合は、それぐらいは普通にかかりますか?

野口 やっぱり初めのうちは、文章の「論理」が見えないですから。「論理」が見えるようになってくるのが夏頃までで、秋ぐらいに少しは書けるようになる。センターを終えて2月に添削を重ねることでやっと完成するという感じですね。

宇野 先生が試験直前に、過去問をすごいペースでひたすら添削してくださったので、当初に比べれば不安はずいぶん軽くなっていきました。

―― なるほど。ありがとうございます。では、もうひと方、お名前からお願いします。

 菊史佳です。東京大学に在学中です。

―― 野口先生に習ったのは、高3の時ですか?

 いえ、小学校6年の1年間、国語と社会を習いました。そんなに事細かく覚えているわけじゃないですけど、一番印象に残っているのが「論理的思考力」を強調されていたことです。国語は「イコールの関係」とか算数の式のような感じで解けるんだよ、と教えてくれて。夏休みちょっと過ぎくらいかな。文章が半分くらいと、「イコールの関係」とか明確な立式で解ける問題が2問ぐらいついているB5のプリントを数十枚用意されていて。で、その答えと式が合っていたら次のプリントがもらえる、そういうレースみたいなのをやったことが、すごく私の頭の中に残っているんですよ。

―― まるで数学みたいですが、立式ですか?

野口 こういうプリントでしょ?

 

 ああ、これです! 途中の考え方も書かなくちゃならないんですよ。自分は「答えは絶対これ」と思って書いても根拠を書かないと先生に「なんでこれはこうなるの?」って聞かれて。「なんで?」って、めっちゃ聞かれました。

―― 答えの理由を聞かれるんですね。

野口 当時も今も、答えの直接の根拠だけでなく、答えに至る道筋を「式」として書かせるようにしています。因果関係は→で、対立関係は⇔の記号を使って、どのように考えたのかを、このプリントの「式」のスペースに立式させています。

 『「なんでこれはこう書いた?」って聞かれた時に、「そう思ったから」じゃダメ』って、何度も何度も繰り返し言われたことを、すごく覚えています。

野口 答えだけなら、正解にしませんから。

 全然、正解にならなかったです。ちゃんと式が立っていないとダメで(笑)。そういえば、センター試験も解きましたよね。

―― 小6でですか!?

 はい。多分そんなに難しくない年度のものだと思いますけど、「大学入試の現代文試験は、君たちが受験する中学入試と同じ手法で解ける」みたいに話してくれて。

―― すごい。そういえば、先ほどのインタビューで「東大もセンターも灘中の問題も、イコールの関係など論理的関係を把握しなければ答えられない、全部繋がっている」という話をお聞きしましたが、まさにその指導を受けられていたのですね。

 はい。中学受験の時に「論理的思考力」という言葉は、何回も出てきました。その後の大学受験でも「野口先生が言っていたことをずっと守ろう」と思っていました。

「なぜ?」という問いかけ

―― 野口先生の指導の中で、特に印象に残っていることはありますか?

 「なぜ?」という問いかけが、ものすごく多かったことを覚えています。

宇野 意味のわからないことを書いた時、「なぜこう書いたの?」とよく聞かれました。

野口 「こういう表現方法を用いた理由は?」「この部分を解答に採用した理由は?」「この解答構成で書いた理由は?」って、みんな突っ込まれまくりだったよね。

宇野 確かに言われた(笑)。

野口 そうそう。「これを書いたのは君だろう。説明責任を果たしてくれ」って。みんな怯えながら、答案返却を待っていた。

宇野 高3でも(笑)。

野口 で、メッタ斬りにされて。その挙げ句「はい、0点」って。

―― 「はい、0点」って(笑)。先生から見て、例えば国語を教えていた小6の子で、入ってきた当初の国語力と最後の方とを比べると、変わってきたという印象はありますか?

野口 ものすごくあります。雲泥の差です。最初は何も無かったですから。

 本当に無かったですね。文章って楽しんで読むものだと思っていて、国語という科目は読んだ後に問いを尋ねられて自分なりに「こう思う」と書いていくものと思っていたんですけど。野口先生に初めてちゃんとした読み方を習った感じです。

野口 「本をよく読め。そうすれば国語の力は自然に身につく」って言う先生もいますけど、自分勝手に読むだけじゃやっぱり「読んだ」でおしまいですからね。国語力養成のためには読書が必要であることは間違いないことなのですが、やはりそれだけでは限界があります。ロジックが理解できないとダメです。

―― 今、その読み方や考え方を、大学で活かしている場面はありますか?

 私の場合は小学生の時に叩き込まれたので、特に大学に限らず、考え方そのものに影響していると思います。文章を読むときはもちろん、考えを誰かに伝えるときも、筋道を立てて伝えるようにしています。

―― 菊さんは、大学では理系ということですが、何学部ですか?

 まだ教養で専門には入っていません。今は主に力学とか数学とかです。

―― どの方面を目指そうとされていますか?

 薬学方面に行きたいです。

―― 宇野さんは、大学ではどんなことを勉強されていますか?

宇野 「システムデザイン工学科」といって、機械・情報・建築・熱流体などを学びます。私は建築を専攻しています。

―― 将来は、建築家を目指していらっしゃるのですか。

宇野 はい。これから卒論とか文章とかを書く機会が増えていくので、野口先生に教わったことをまた改めて勉強し直さなきゃと思っているところです。

野口 就職しようと思ったら、エントリーシートも書かなきゃいけないからね。

―― その通りですね。大学関係者と会う機会もありますけど、レポートや論文のみならず、エントリーシートでも文章が書けない学生が多いという話をよく耳にします。アドミッション・オフィスの方が「現代文でいいテキストはないですか?」と言うぐらいですから。

野口 君たちなら大丈夫! これからもがんばれよ。

―― お二人とも本日はどうもありがとうございました。

二人 ありがとうございました。

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