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探訪・論理の匠

論理の匠 vol.3

~開智学園開智高等学校・加藤克巳先生~

論理エンジン研修会の超人気先生、ついに登場 (6)

- 前編「教材観と実際の授業」その1 -

思い切れるかどうかが境目

―― 実際に導入されていかがでしたでしょうか。

加藤 初年度は、現代文の指導者と論理エンジンの指導者を分けて指導しました。しかも週に1回しか論理エンジンの時間を設けませんでした。これが大失敗だったのです。

 

その大失敗の原因は何だろう? と考えた時、一番の原因はやはり論理エンジンの授業と現代文の授業がリンクしていなかったことだったと思います。これは、生徒の学習のモチベーションに直結することだからです。

要するに論理エンジンを、現代文の授業とは切り離された別個の教材と考えてしまっていると、現代文の学力との相互関係が生徒の方に関知されないので、子どもたちは両方にあまり学習効果を感じ得ないのです。

そこで次の年は、論理エンジンを現代文の中で扱いました。この時私も――これは出口先生も常々仰っておられるように――「論理エンジンで国語を教えようとしない」という風に、180度教材観、気持ちを変えたのです。

では、論理エンジンは何をやるためのものか。それは、論理エンジンの学習を通して、今まで子どもたちが国語、特に現代文というものに対して抱いていた意識・イメージを改革する、つまり意識改革のためのツールであり、国語の力を伸ばす教材ではないんだと考え直したのです。

だから私は生徒たちに常々言います。
「君たち今、論理エンジンを高校1年生で一生懸命やっているけれども、勘違いしちゃいけないよ。これだけやっていて現代文ができるようになるわけではないよ。実際、出来るようになると思えないでしょう。高校生が小4用の問題集をやっていて、国語ができるようになるわけがないんだ。でも、それはそれでいいんだ。
ただ、今までみんなは国語の勉強の仕方が分からないとか、北辰テスト(埼玉県の統一テスト)で国語の成績がいつも波をうってきたことをどうにかしたいと思って開智高校に入ってきたんでしょう。それをどうにかするのがこの教材なんだ。この教材で君たちの国語に対する意識が変われば、必ず君たちの成績は上がるし、安定してくる」と。

そして、「実際の国語の力を上げるのは、高校2年生の冬期講習から始めますから、それまではこの論理エンジンをきっちりとやっていくんですよ」と言うのです。「論理エンジンを通して国語をもう一度見直すんだよ」ということですね。

正直言って、そこまで思い切れるかどうかが、多分境目だと思うんです。そこまで思い切って国語の指導を小学生まで巻き戻して、我々の場合で言うならば、最後は東大まで追いつかせる、というだけの本当の潔さがあるかどうかだと思うんです。

この間の論理エンジン研修会でも、他校の先生方からいろいろなご質問をいただきました。たとえば、研修会の中で「私は高1では論理エンジンしか教えません。」ということをお話ししたのですが、それについて、「それで国語の評価をどうやってつけるのですか」というようなご質問がありました。

そういう疑問をお持ちになる先生は、やはり従来型の授業イメージをお持ちなのでしょう。ですから、そこに論理エンジンを載せていったときに、どういう風になるのかという疑問が当然出てくるんですね。

たしかに従来型の授業と論理エンジンとを共存させてうまくやっていこうとするのは難しい部分があると思います。私も従来型の、文科省が提示している学習指導要領の進度に沿った論理エンジンの使い方を当然開発していかなくてはいけないと思っています。ただ、今まで50年も100年も続けてきて上手くいかなかった国語指導のやり方に、論理エンジンによって一石が投じられたわけですから、ともかくそれを一度自分の手で試してみる。それをメイン教材として使って指導してみるということが大切だと思うのです。これが私が思い切ったことだと言えますね。

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